マスターキートン13巻チャプター4 伝説の微笑み

このチャプターは浦沢さんの絵の技術にあっぱれという感じです。私は浦沢さんのあのクリーンでさっぱりしたタッチが大好きです。

物語の内容は専業主婦であるだろうエミが、仕事で忙しい上に冷たい夫との関係に疲れて、傷つた心を癒すかのように一人ギリシャ・レノス島を訪れます。

そこでキートンに出会い、キートンは彼女にレノス島の丘の上にある神殿にまつわる伝説、戦士ピレモスと王女ハルスキュラの話をする。

戦士ピレモスは精霊のニンフによってイノシシに姿を変えられてしまいますが、王女ハルスキュラは死が迫る直前までピレモスに対する”愛”を貫き通すのです。

エミさんはこの伝説の話に心を打たれて、後悔を恐れず自分の信じた愛の為に精一杯生きる自信を取り戻すのです。

最初に出てくるエミさんの陰鬱(いんうつ)な表情や、最後に見せる何か迷いが吹っ切れたような、自信に満ちた笑顔がとてもよく描かれていて、ぐっと心に残りました。

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あの旦那がどこまで変わるかはわかりませんが(笑)自分で幸せを感じれるようになった絵美さんはたくましくさらに魅力的な人になるでしょうね。

キートンさんまたいいことしてくれたなって感じです。

それからいつものようにマスターキートンにはこれって存在するのかなとか、これっとどういう意味なんだろうって思うことがあったので、ちょこっと調べてみました。

レノス島というのは存在しない?

まず、レノス島。こう発音する島はギリシャにはなく、近いものでレロス島Lerosというものがありました。

丘の上にあるという神殿のレリーフ、王女ハルスキュラの微笑みを見たかったのですが、残念ながらそのような神殿はなく、レロス城というものがあるだけでした。トルコに近い島です。

もう一つLemnos島リムノス島といってギリシャでは八番目に大きい島があります。レムノスと発音されることもあるようで、ここかなと思ったのですが、同じく神殿の情報はなし。。

またエーゲ海北部に浮かぶこの島には島にまつわる神話やポリオクニという丘がありますが、漫画に話されているようなものではないので、やはりここでもないと思いました。

ある方のブログによると、伝説は勝鹿さんの作ったオリジナルの話とのことでした。

戦士ピレモスをギリシャ神話のキャラクー一覧を見て探しましたが、これも空振りに終わりました。。。

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アルカイックスマイルとは

アルカイックはギリシャで「古い」を表し、紀元前のギリシャで行われていた彫刻美術のこと。口だけニヤリとさせて表情を出しているのが特徴で、アルカイックスマイルと呼ばれています。

photo by Ricardo André Frantz

ちょっと奇妙ですけど、紀元前のその当時としては新しく斬新な美術手法だったのでしょう。日本では飛鳥時代の仏像に同じような施しが見られるようですよ。

キートンは日本仏教の仏像の微笑みが元をたどればアルカイックスマイルに起すると言っています。

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ニンフとは

ニンフはギリシャ語で「新婦」「花嫁」と表すらしいです。

ですが元々はギリシャ神話の中の精霊のことを指すようで、海、水、山、森、木、谷、さらには都市や国にも宿ると言われています。

精霊というと私の知識では、なんだか清らかでまじり気のない存在のようなイメージだったのですが、実はいたずらしたり、人間の男をさらったり、魔術をつかったり怖い一面もあったのですね。

漫画の中では、ピレモスは愛する彼女に、とアネモネの花を折ったばかりに精霊によってイノシシに姿を変えられてしまうのです。精霊は相当恨みを持ったのでしょう。

ハルスキュラの微笑みに心動かされたゼウスが助けなければ、ピレモスはイノシシのまま生涯を終えていたのです。

誰かが花束を持っているのを見るたびに、精霊のことを思い出してしまうかもしれません(笑 

私自身は摘んだ花束は好きではないので、花を折ることはまずしないと思いますが。

地名や神話の話が架空の話でちょっと残念だったような、でもオリジナルでよかったような、どちらとも言えない感じでした。でもこの物語はこの物語で心温まる、とてもいい話でした。

もしどなたか、このチャプターのベースになった場所やギリシャ神話をご存知でしたら、教えてくれる嬉しいです。よろしくお願いしますm(_ _)m

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