キス・ミーは2011年にスウェーデンで制作・公開された映画。
最近超はまってて、ほぼ毎日観てます(笑
物語はミアとフリダ、30代の女性2人の恋の物語。
とりわけミアの方が自分の性に対するアイデンティティを悟る過程がこの映画のメインストリームですね。
主人公のミアは7年付き合ってるティムと建築デザインの会社を営む30代の女性。
映画はミアの父親の60歳の誕生日と再婚パーティーから始まります。
父親の再婚相手の名前はエリザベス。
彼女には一人娘がいて、名前はフリダ。
彼女も30代、小学校の教師。
この二人、ミアとフリダは法律上ではこれから義理の姉妹になるわけです。
父親のパーティーでのスピーチの後、ミアは自分とティムも婚約したことを報告してパーティーにもう一つおめでたい雰囲気を上乗せするのですが、、、、
そのあと
ミアは義理の姉妹になるフリダにどんどん惹かれて、恋に落ちてしまうのです。きゃぁ
最後にはティムを失って?捨てて? フリダを追いかけて行きます。
幸せな結末で終わる恋の話。
と最初に表現しようと思ったんですけど、
やっぱり同性愛っていうテーマをこの映画からはずすことは出来ないので
性への気付きがまず最初にくるかもしれませんね。
混乱とか抑えられない情動ちか、ミアに残された選択肢と行動、周りに与える影響などいろいろ考えると、この映画をただ単に”恋の話”だと、まとめることは出来ないですよね。
でもハッピーエンドで終わってくれたので、観終わった後は心が温まったし
1時間半の映像で深く深く私の感情を揺さぶってくれたし、
もう一回あのシーンみたい、あぁだからあのシーンで彼女はあんな表情してたのか
とかいろいろ思って、長いこと物語の余韻にひたってました。
好きなシーンや気になったシーンを次の日も見て、また次の日も見て、またその次の日も見てを
繰り返して、役者さん達についてネットで検索してみたり、撮影の裏側とかYouTubeで見たり。
面白かった、というとなんだか陳腐な感じになってしまうのだけれど、
でも、ぐっと心を惹かれて、感情が豊かになって気分がよくなって、
それが2,3週間も続いたんだから
素直に本当に面白かったというしかない。
心に残ったシーンがたくさんありすぎて、挙げたらキリがない。
個人的にどきどきして好きなシーンを5つだけ挙げてみたいと思います。
一番どきどきしたシーンは
ぶどうガーデンで、去ろうとするミアを、フリダが体をずらして引き留めようとする場面。(43分くらいのシーン)
ミアはフリダに、とっても好きだけど、もうすぐティムと結婚するから
これ以上は先に進めない、といいます。
んで申し訳なさそうに、しょうがないというな表情をしながらガーデンを去ろうとする。
そこで体をずらして引き留めようとするフリダにミアは、目を閉じて精一杯、動揺をコントロールしようと努めるんです。
フリダはミアに顔を近づけて、もうあと1mmで唇が触れそうなんだけど、
ミアは顔を引き、もうちょっとのところでキスをしない。
ミアは心臓がバクバクしてるのか息をするのも忘れてる感じ。
フリダのあの体のずらし方とか、キスをしたいんだけど同時にせがむような
仕草に、なんとも言えないくらい私がどきどきしてしまいましたよ。
二人の演技は素晴らしい。
2番目に好きなシーンは
フリダとミアがコンサートホールの踊り場で久しぶりに会うシーン。
5分だけ待って、と言った後に来てくれほんとに嬉しいとミアの手を握りながら
また会えたことを素直に喜ぶフリダの無邪気さがもう最高です。
で、廊下の角で待っていたミアを見つけて、壁に手を当ててミアを包み込むように?
”隠れてたの?”と愛情たっぷりに言う場面。
ミアが一緒にどこか遠くに行こうと言った後に抱き合う時のフリダの仕草、
ミアが首へ回した腕を撫でながら抱き合うシーンが、なんだか新鮮でどきどきしてしまいました。
あの腕を撫でる仕草って映画であまり見ないですよね。
あの動きはリブ(フリダ役)から自然に出てきたのか、ダイレクターがお願いしたのか、どっちなのか気になるところ。
恋の始まりのわくわくした情熱が仕草で見て取れますよね。
でも極端に言うと、ミアは勝手にフリダの心を乱しておいて、
いや、やっぱり婚約者がいるからだめ、って一方的にフリダを切ったんですよ。
フリダはミアに拒絶されたにも関わらず、
一緒に暮らしてる彼女エリンに、
もう感情を持てなくなって、別れてしまうのです。
拒絶されたにも関わらず、といったのは
フリダとミアが一緒に過ごしたのは週末の2日だけ。
もちろん浮気はよくないですよ。
でも二人の情事は2日間で始まって、終わったのです。
ミアはしばらくぼーっとした日々を過ごしてしまうけど
自分とティムのいつもの生活のリズムを徐々に取り戻そうとします。
対照的に、フリダの中にはミアへの思いが膨らむばかり、
同時に一緒に暮らしてる彼女のエリンに対しての罪悪感がどんどん膨らんで、
ついには正直にエリンに、ミアに恋に落ちたと告白するのです。
で、別れてしまったんですよ。
傷ついたフリダは、ミアに対してちょっとは怒ってもいいところなのですよ。
ミアには拒絶され、エリンを失ったにも関わらず、
フリダはミアにまた会えたことに素直に嬉しさを表すフリダ。
フリダが純粋すぎて、まぶしいです。
国際的なタイトルは「with every heartbeat」というらしいです。
この国際的なタイトルの方が内容をよく表現してるなぁと思うのですが、
オリジナルのキス・ミーもやっぱりしっくりくるタイトルです。